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福祉のトップセミナーin雲仙2007  
 
 
 
福祉のトップセミナーin雲仙2007  
 
平成12年に始まった社会福祉基礎構造改革は「誰もが人としての尊厳を保ちながら、身近な地域で自立した 生活を送れるよう支援すること」を理念とし、措置から契約に支援費制度から障害者自立支援法へと変革し、 自立と共生の地域社会の実現に向けて乗り出しました。
 
昨年スタートした障害者自立支援法は3障がいを一元化し、障がい種別ごとの複雑な事業体系を6つに再 編し、規制緩和により既存の社会資源の活用を可能にしました。更に就労支援の抜本的強化により働いて自 立できるチャンスが広がりました。また、支給決定において客観的尺度(障害認定区分)を導入し審査会を経 るシステムによってプロセスの透明化が図られ、かつ安定的財源確保を行うため、皆で支える仕組みが組込 まれ、自立と共生の社会づくりの理念の具現化が一歩前進しました。歩き始めたばかりの新しい制度はまだ まだ課題も多く、これからより充実したものに育てていかなければなりません。「ふつうの場所でふつうの暮ら しを」と願い実践する「ノーマライゼーション」への道は格段に充実してきました。今後に向けては、新たな時代 の更なる目標「インクルージョン ~弱者を包み込む社会~」を大きく掲げ、真に自立と共生の、共に支え合う まちづくりを目指し、努力していきましょう。  
 
これまでの実践活動や本セミナーにおいての提案も踏まえて次の政策提言を致します。
 
 
 
 
1. 日中系サービスと居住系サービスの給付格差の見直しを。
入所施設からの地域移行を促進していくにはケアホームへの支援強化を図るべきであり、その 為には日中系と居住系のサービス提供時間帯の比率を勘案した給付単価の設定をすべきである。 つまり休日を含め1日24時間の3分の2以上の時間帯を居住系においてサービス提供しているに も関わらず、低額設定となっており実際に即応した適切な支給額となっていないため、給付格差の 是正が必要である。
2. 障害認定区分の見直しを。
障害認定区分については、実態にそぐわない事例が多発している。例えば罪を犯した障がい者 又は社会不適応行動を有する人達は「社会適応性」や「環境適応能力」において極めて重い障がい があり、その為に安心・安全な地域生活が困難になっているのが現状である。したがって、障害認 定区分の項目に「社会適応性」が反映される等の制度上の基準の見直しが必要である。
 
また、区分決定についての意義申し立てに対する再審査では各市町村間の格差、ばらつきが大 きく、公平さに欠くところが多々見られる。これは再審査においても市町村によっては審査委員の構 成が同じであるということも一因である。また不服の場合は「知事への訴訟」となっているが、再審査 の段階で都道府県レベルでの審査会を設けることを切望する。例えば専門的機関である児童・更生 相談所等による信頼性の高い審査会の適宜開催である。つまり透明性と公平性(地域格差の是正) をどう保っていくかが重要である。それに加えて対象者本人を3年以上の処遇経験をもつサービス 事業所側の現場の意見等をもっと考慮すべきであると切望する。
3. 療育手帳取得の要件の緩和と全国統一化を。
知的障がいは発達障がいのため18歳未満で障がいが発生したことを証明する書類の添付が必 要となる。しかし罪を犯した障がい者等は家族に恵まれない者が多く、福祉サービスを受けることな く年齢を重ねていることが多いことから、必要な書類や証言を得る事が難しい。さらに都道府県によ っても申請基準・交付基準等にばらつきがある。
 
また、生活困窮者やホームレス等の社会的弱者の中にも知的障がい者と思われる人が相当数い るのではないかと考えられる。ただ、知的障がいがある為に、療育手帳取得及びサービス利用が 事務手続き上困難となっている。
 
このような場合などを想定し、判定機関等の弾力的な判断によって療育手帳を取得できるよう全 国統一しての緩和が必要である。
4. 措置制度の弾力的運用と迅速な決定システムを。
社会不適応行動の改善が急務であると判断される人等で「契約になじまない」状況の場合や、後 見人又は保護者不在の場合においては弾力的に措置入所が出来るよう現在の措置制度の見直し と効果的な利用につなげるための事務手続き上の迅速な決定システムが必要である。
5. 新体系移行によるサービス低下が生じない制度設計を。
今回の障害者自立支援法においては旧体系のサービスが新体系移行によってそのサービスの 質が低下又は消滅しないようにということが原則的な考え方であったが、例えば「旧通勤寮」がグル ープホーム・ケアホーム又は宿泊型自立訓練事業への新体系に移行した場合の短期入所サービス (併設・空床型)に関わる事業指定がそれまでの実績があるにも関わらず、継続事業として認められ ていない。地域のニーズに即応した、もっと柔軟で実績重視の制度設計が求められている。
 
また「旧通勤寮」がこれまでに果たしてきた役割は地域移行という観点からも大きかったと判断さ れる。地域移行をより安定的に促進していく為には、居住系サービスの中に自立訓練・就労移行支 援等と一体的にリンクした形での一定期間利用の生活訓練ホーム等の設置が望まれる。
 
したがって、その機能を効果的に継続させていくためには宿泊型の自立訓練事業における訓練 期間をその目的が達成できる実効性のある期間(原則2年)への延長見通し等が必要である。
6. 強度行動障害者等の処遇困難な人たちのサービスメニューの充実を。
新体系で、強度行動障がい者の人たちが利用できるサービスでは施設入所支援と生活介護の組 み合わせで加算が付くことになっている。ケアホームを利用した場合には行動援護又は重度包括 支援の限られたサービスしか利用できないのが現状であり、それも実際のサービス利用上、実態 にそぐわない面がある。本法人においては旧体系の中で11名の強度行動障がい者加算の指定を 受け、手厚いサービスを提供できていたが、新体系移行後は特に加算等もなくケアホームでの生活 が質的にも困難になってきている。即ち移行によって人員配置が困難になり、サービスの提供自体 も永続性の点で危惧している。
 
強度行動障がい者又は罪を犯した障がい者の支援では特に居住系サービスにおいては時間的 にもマンパワーが必要でありリスク面で大きな負担を要する。したがってケアホーム等についても 特に障がいが重い人達や社会不適応障がい者へのサービスメニューの充実を図るためには人員 配置を含めた何らかの特別加算が必要である。
7. 社会生活支援センター(仮称)の設立を。
罪を犯した障害者は法の狭間に存在し福祉サービスにつながっていかない為に再犯を余儀なく されているところが大きい。また福祉サービスにつなげていく為にはまずどこに相談すればいいの か、どういう申請手続き等が必要なのかをコーディネートし、実際のサービス利用につなげていくこ とが重要と言える。
 
したがって矯正施設及び更生保護施設と福祉サービス事業等をつなぐ中心的な架け橋として都 道府県単位での拠点、つまり社会生活支援センター(仮称)の設置が急務である。
8. 障がい者雇用政策の中で定着率に着目した新たな施策の展開を。
雇用支援施策の中で生活支援を含めた職場定着支援(アフターフォロー)の為の事業としては障 害者就業・生活支援センターがあり、今後も設置増が期待されている。しかし職員配置が少なく支援 対象者数の増加に伴い、就職後のアフターフォローが支援の大半を占め、新規の職業相談及び就 職支援が手薄になっている実態がある。
 
本法人の県央圏域における就業・生活支援センター(長崎障害者就業・生活支援センター)では発 足時の平成14年5月7日付けで支援登録者数が71名、それが平成19年9月30日現在で226 名となっており、年平均の新規登録者数は約50名にも上っている。しかし職員配置数の法的増員は 全く無いのが現状であり、また実績が上がれば、上がるごとにアフターフォローの人数が増え、支 援の中身が充分とはいえなくなっているのが現状である。「定着あっての就職」である。したがって 今後は、職場定着に目を向けた視点が重要であり、就業支援に関わる定着支援専任職員の配置等 の増員強化に向けた新たな施策の展開を切望する。
 
   
平成19年10月7日
 
社会福祉法人 南高愛隣会 理事長 田島良昭
コロニー雲仙連合育成会 会長 松友了
社会福祉法人 訪問の家 理事長 日浦美智江
社会福祉法人 プロップ・ステーション 理事長 竹中ナミ
社会福祉法人 あおぞら共生会 副理事長 明石洋子
神奈川県 川崎市職員 明石徹之
慶應義塾大学 教授 浅野史郎
更生保護法人 日本更生保護協会 常務理事 清水義悳
参加者一同
 
   
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