障害者自立支援法の大きな流れの中で、当法人入所型施設も平成19年3月31日をもって完全閉
鎖し、その歴史に幕をおろしました。
これまで毎年たくさんの方々を地域へ送り出してきた当法人においても、その障がい特性が重い
ゆえに、密な医療的ケアが必要なゆえに、なかなか「地域」へ送り出すことができない方々がおら
れました。
ここで言う「地域」とは施設の敷地内やその近辺ではなく、「より生まれ育った普通の場所」「よ
り愛する人の近く」「母や家族の近く」を意味します。いくら障がいが重くても、本人さんの想い願
いはふるさと、愛する母や家族のより近くです。施設に入所している時には「帰省」という形でし
か帰ることの出来なかった、生まれ育ったふるさとです。
この実践報告では本人の願い・想いであるふるさと佐世保に向けた、実際の取り組みを現在進行
形で報告します。 |
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1.佐世保移行まで
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佐世保移行を考える上で、本人さん、保護者の方々、職員等と話し合い「なぜふるさと佐世保な
のか」「ふるさと佐世保で何をどういう形でやりたいのか」を少しずつ明確にしてゆきました。
それを踏まえて佐世保への地域移行にあたって次の5つの方針を立てました。
1. 自分の生まれた地域で自分らしく生きる。
利用者本人が一番大切です。自分らしくいきるために言葉が言えない、書けない方々にも「どう
したいのか」「どうしてほしいのか」尋ねてみました。保護者さん、職員へも問いかけてみました。
2. 地域で生活する中で、気軽に声をかけあえる知り合いづくり、人の輪づくりそれが『はぴねす』
の勧める地域活動です。
最初から地域の人に支えてもらうには無理があります。職員はもとより家族、家族の知り合い、
そのまた知り合いもまきこみます。法人全職員へも職員募集のビラを掲示し、一緒に立ち上げの汗
をかいて下さる方を捜しました。
3. 立派な建物(施設)を建てるのではなく、民間の賃貸等の活用により、より地域に密着したふ
つうの生活を目指します。
建物は全て借り物です。コスト削減はもとより、本人さんの状況、その時々の環境、時代の流れ
等により、適切なものへと移ります。永久的ではないということです。
4. 生活・余暇・就労と生活全般の支援を行います。ただ、地域に居る(住む)ではなく、働きな
がら、余暇活動の充実した生活を支援します。
現在使用できるサービスはとことん探し、調べて使います。現在ないサービスはそれに近いもの
を作ったり、発想をふくらまします。
5. 地域に求めるだけでなく、地域の中でできる本人達の役割を共に考えていきます。
いくら障がいが重くても、一人一人ふるさとで役割をもってもらいます。彼らの意識も変わりま
す。彼らが街で活動をすることでまわりの方々の考えも変わります。
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旧施設のあった雲仙市は、県の南に位置し、彼らのふるさと佐世保は北の端に位置します。「わが
子に合うため」だけに毎回3時間半の道のりを朝早くから会いに来られ、帰りはまた3時間半の道
のりをお母さん、お父さん、家族は帰られていました。保護者の高齢化、本人の加齢化は進むばか
り。今をのがしたら、ふるさと移行はもう難しいのではないかと大変あせりを感じました。
まずは一番身近にいる職員の意識改革が必要でした。目の前の担当する利用者の方々の想い・願
いをどう感じているのか。「佐世保の今」「地域の今の状況」を何度も見学してもらいました。保護
者の方には現地での保護者会を増やし、「ふるさと移行」にむけての勉強会を何度もしてもらいまし
た。「制度の勉強」「親の地域での役割」「生活設計」など、より具体的内容に少しずつ踏みこんでい
ただきました。
これまで地域移行をすすめてきた当法人、保護者においても、施設安心、安全神話は根強いもの
があり、不安の声、半信半疑の表情、相当な賛否両論が繰り返されました。年次計画の作成、メン
バーの絞り込み、個別面談、保護者面談を行いながら、一つ一つの不安を解消するための健康、医
療面の体制マニュアル作り。食事面、生活面でのフォローアップについても、より具体的に提示し
てゆきました。そうした中で保護者、職員の方々には具体的に地域の情報の洗い出し、情報集めと
いった、実働部隊として動いていただきました。 |
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