皆様おはようございます。社会福祉法人 南高愛隣会理事長の田島でございます。福祉のトップセミナーin雲仙2009の開催にあたり、この雲仙においでいただきましてありがとうございます。
「浅野史郎さんと村木厚子さんのこと」
昨年のセミナーから1年の間にいくつかのことが起きました。
毎年このトップセミナーを一緒にやってきた浅野史郎さんが病に倒れました。今は浅野さんご自身が、一番辛い状態にあります。9月ぐらいに予定していた骨髄移植が遅れています。なぜかというと、移植した後1年間くらいは免疫力が落ちて色々な治療が出来にくくなるので、その前に自分の中にある色々な病気の種を虫歯一本まで検査して治療しなければなりません。そのため治療が終わって「さあ」という時に別の治療箇所が出てきて、手術が延びています。ただ本人は北海道の小山内美智子さんの記事で、非常に元気にインタビューに答えていたようです。
私共にできることは、病気が治るよう、無事骨髄移植ができるように祈ることしかできません。1日も早く元気になって、また一緒に活動したいとただただ祈るだけです。私は今、朝、晩祈りを捧げています。是非、会場の皆様も浅野史郎さんと色々な形でお付き合いしていただいている方も多いと思いますので、1日も早く元気になるように祈っていただきますように私からもお願いを申し上げます。
それから、このトップセミナーに3回来ていただき、障がいを持つ人達の働くという部分で大きな力を注いでいただいた村木厚子さんが逮捕され、4か月を超える間、拘留をされたままです。私も大学時代は法学部でありましたので、「推定無罪の原則」とか、「法は人を守る」すなわち国民を守るための人権を最も大切にしているということを習い、自分でも法律というのは基本的にはそういうものだと思い込んでおりました。
ですから、今回の村木さんの逮捕から今に至るまでの状況は、相当おかしいと思っています。村木さんについては、やがて裁判できちんと無罪が証明されると思いますが、本人がやっていません、関わっていませんと言っているわけです。白状しないと、警察も裁判所も身柄を拘束している状態は、国民の目から見ても非常におかしなものがまかり通っているのではないでしょうか。
特に私は10数年来、村木さんの人柄や仕事ぶりをよく知っていますから、今かけられている疑いは到底納得できません
他にもわが国の介護福祉のメッカと言われた岩手県鷹巣町の元岩川町長も7月に選挙違反で逮捕されて、自分はやっていないとずっと主張しているのですが、今なお拘留されていて、副島弁護士が必死で救出活動をしています。
このところ自分に近い人のところでこういう問題に次々ぶつかってみますと、この国の司法は戦後おかしくなっているんじゃないか。もう一度しっかり考えないといけないのではないかと思っております。
「政権交代を終えて」
本当に頭を抱えてしまうようなことにぶつかってしまうこともあれば、非常によかったこともあります。
昨年この会場で、薬害肝炎の問題で走り回り戦っていた福田えりこさんが皆さんにも訴えましたが、彼女は今回の衆議院選挙でこの長崎2区、この場所から立候補して当選されました。ちなみに私が後援会長でございます。
また、昨年この会場で障害者自立支援法や社会福祉の全体に関する問題があげられ、「政治の果たす役割が非常に大きい。この機会に政権交代ができる仕組みを作らなければならない」ということで議論しました。そのシンポジウムで民主党から参加いただいた山井和則さんは厚生労働省政務官になって、ここで議論したものを与党として政府3役となって取り組んでおられるところであります。
今回おいでの皆さんは、それぞれが現場で取り組んでいただいております。現場の中で解決できる問題と、それを制度や法律に変えていくということが、しっかりとかみ合った形で前に進んでいかないといけません。
私と親しくお付き合いをさせていただいている鳩山由紀夫さんが総理大臣になられて、長年障がい者の雇用に尽力いただいている理化学工業の大山さんのところに行かれて、そこで働いている知的に障がいを持った人達の話をしっかり聞いていただきました。所信表明演説の中でもチョークを作っている障がい者の事をしっかり話していただき、働く障がいを持つ人たち、あるいは自分の持つ力をいろんな形で発揮して社会の中で活動している、生きる力の弱い人たちにしっかり光をあてる政治を進めるということを明言されました。雲仙にも7月中旬においでいただき、障がいを持った人たちが椎茸を栽培している工場を1時間程見ていただいき、「雲仙で展開しているこういうものこそ自分が目指している友愛の社会なんだ」と何度かあちこちでお話をされています。
色々なハンディキャップを持ちながらも、あるいは生きる力の弱いといわれている人でも、自分の持てる力を発揮して、社会の中で一人の人間として尊厳を持って生きていける社会をしっかり目指そう。そのためにそれにかかる費用を、まずそういう人たちに向けて使う。そういう国にしましょうとおっしゃっていました。まさに我々が長年、主張してきたものが少しずつ、前に進んでいけるのではないかと思います。
ただ、今回民主党が出したマニュフェストには、昨年私が厳しい批判をいたしました。
官僚主導型を脱却して政治主導型に切り替えるということは、すごく大切なことだと思います。しかしその官僚の人達が尊敬して一緒にやっていくような政治家にならなければ、各大臣というのは務まらなく、本当の政治は出来ないと思います。鳩山さんにもよく「本当に役所に信頼されたり、尊敬されるようにならないと、どんなに偉そうなこと言ってもダメなんだ。官僚と言われる人達の中にこそ非常に高い志と深い見識を持った人達がたくさんおられる。その人たちを見分けることがすごく大切で、「この人!」と思う人の意見をじっくり聞かないと総理大臣は務まらないよ」と言いました。
今回のセミナーには、私が色々な形でお付き合いして見ている中で、皆さんにご紹介をしたいという方を厚生労働省からお二人、法務省からお二人お招きいたしました。
民主党は政権をとったわけですから、頭から役人はだめだ信用ならないというのではなくて、役所はもちろん沢山の皆さんの意見にも謙虚にしっかり耳を傾けていただきたいと思います。この会場には民主党の国会議員の秘書の方も何人もおいでいただいております。ここで議論したものはそのまま民主党に持ち帰っていただいて、与党の中で議論していただき政策実現をさせたいと思っております。
「誰のための福祉か」
障害者自立支援法が施行されて3年たちました。
すでにご承知の方もいらっしゃいます通り、障害者自立支援法は昭和58年~昭和62年のコロニー雲仙の第2次整備5か年計画が基盤となって形作ったものです。障害者自立支援法をきちんと実施していると将来的にはどうなるかという形を、経営状況をふくめて昨日現場をご覧いただき、利用者や職員、保護者いわゆる育成会の方、そして当事者の色々な意見を聞いて議論していただけたかと思います。
後ほど障害者自立支援法に移って3年間の実践をそれぞれの担当者がお話することになります。障害者自立支援法を実施したらどうなるか、実施せずに措置の時代、あるいは支援費の時代と比較してご覧になっていただければ大変ありがたいですが、そこで一番考えていただきたいのは、この法律は、この仕組みは、誰にとって一番いいものかということです。
障害者自立支援法は誰のためですか。誰のための福祉なんですか。
それは間違いなく障がいを持つご本人のためのものです。事業者のための法律ではありませんし、親のためでもありません。親と子の利害が相反することもあるわけです。その時には間違いなく本人のためという視点で障害者自立支援法は作られています。
そこを除いてみて事業者の視点から見てみると、こんな厳しい法律はありません。悪法はありません。そこの理解がなかなか得られなかったということがあるのだと思います。
それは私達福祉に携わる者への国民からの強いメッセージであったと思います。福祉事業はこんなことでいいんですかという問いかけでもあるんだと思います。
しかし、それに対して福祉団体、福祉に関わる人達は猛然と反発、反対をいたしました。その人達のおっしゃる事をじっと聞くと、それは障がいを持った本人達より、まず事業をやっている自分達の言うことを聞け!という事です。しかも、声の大きい人、身体は色々な不自由があっても口先だけは達者な人たちの意見がどんどん前にいきました。
そしてある意味ではマスコミの皆さん達がそれをあおりました。そこにうまくのった政治家がいます。政治献金をもらって役所にものすごい圧力をかけ、今年2月から3月の予算の時期に激しい攻防が行われました。そういう政治家は絶対許さないと誓いました。
障がいを持つ本人のためであるものが、いつの間にか業者のためのものになっている。入所型中心の措置の時代にもどすと公言して、そのために政治連盟を作っていた団体もあるわけです。その業者の応援団に政治家がついて、いつの間にか建設業界よりもひどい癒着みたいなものが起こっているところまできてしまったわけです。
そうして非常に混乱をして、民主党ももみくちゃになっていますが、党内には冷静に見て、建て直しをしっかり考えている人達も相当います。皆様にはこの3年を分析した資料をお渡ししています。これは今日始めて出た資料です。セミナーが終わったら政権与党に対して提言をいたします。障害者自立支援法を廃止して総合福祉法を作りますと提言しているわけですから、数字をきっちり分析して、次の方向性を出すべきだと思います。
若い人と年寄りを一緒にするなと言っている人もいますが、そういう感情論ではなくて、「障がい者」とはどういう人達をいうのか、ハンディキャップを持った人達にはどういう支援をすべきか。そしてどういう支援をすると1人の人間として安心してふつうの場所でふつうの暮らしが出来るかという視点での議論を積み重ねる必要があります。
その中で総合的な福祉法を作るべきですし、当然厚生労働省も見直すべきだという議論も出てきます。現在は、18歳未満は児童家庭局、65歳以上は老健局、その間は社会・援護局であると役所の縦割りの中で障がいを持った人が3等分されています。老健局をなくす、あるいは他の局もなくして、障がいを持った人達は赤ん坊からお年寄りまで支えられる部署を作るべきかと思います。
政権が交代しましたので過去を精算しながら、継承しながら未来に向けての新たな一歩を踏み出していく、そういうものにしたい。この雲仙のトップセミナーがその第一歩になれればと思っております。
今日は会場に本来ならば、講師として登壇していただくような方が、会場に参加者として沢山おいでいただいております。1人ひとりに会ってお話を伺いたいんですが、時間の関係もありましてそういうことができずに残念であります。その方達とは是非夜のセッションでお話をして、 交流を深めていただきたいと思います。
2日間どうぞよろしくお願い致します。
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