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今、わが国は政権が交代し、いのちを守り国民生活を第一とした政治を掲げた民主党を中心に、国のかたち、福祉のかたちが、大きく変わろうとしています。
鳩山首相は所信表明演説で、養護学校を卒業しチョーク工場で働く障害者にふれ、「人の幸せはものやお金ではない。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること、働くことによって幸せが得られる」という工場での話を紹介する。
働くことによって、人に評価され、感謝され、必要とされることで、幸せを感じることができる「居場所と出番」のある社会の実現や「支え合って生きていく日本」の構築を目指しています。
こうした大きな方向性の中、最も生きる力の弱い人たちが、地域の中で安心して暮らすためには、これから何が必要でしょうか。
福祉のトップセミナー in 雲仙 2009では、コロニー雲仙での実践報告を行い、「障害者自立支援法への完全移行から見えてきたもの」というテーマで考え、障害者自立支援法によって、どこが良くなったのか、問題点は何かを福祉現場の視点で検証しました。
その中で、将来を見据えた安定的な福祉財源の確保や、就労につなげるための職業能力を判定する専門機関の設立、また福祉サービスを利用するご本人が使いやすい日割り制度の維持が不可欠です。それからグループホーム・ケアホーム制度の充実で進んできた、愛する人との暮らしの実現や子育ての支援への取り組みも欠かせませんし、所得保障の面からも公営住宅を活用できるしくみも必要です。
また現在取り組んでいる、罪を犯した障害者への支援については、矯正施設から福祉へつなぐための地域生活定着支援センターの制度化や、受け入れ施設への報酬加算が設けられましたが、今後さらに受け皿となる事業所を増やしていくために、障害程度区分の改善も必要です。
福祉の現場での実践を通し、これからの福祉のあり方として、次の7点を政策提言し、長崎アピールといたします。
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1. 障がい福祉と介護を統合する普遍的介護保険を
2000年から始まった介護保険は、被保険者は40歳以上、受給者は原則65歳以上となっています。かねてからコロニー雲仙では、被保険者を20歳以上に広げ、乳幼児や児童の育児支援から、障がい者、高齢者の支援まで、介護が必要な者すべてを受給者とした「普遍的介護保険」を提唱してきました。
介護保険と障がい福祉

高齢者の介護サービスを提供する介護保険の財政は、税金と保険料が半分ずつになっています。一方障がい福祉はすべて税財源で賄われています。
国や地方自治体の借金が増える中にあって、税財源に依存している障がい福祉の予算増額は難しい一面があります。
サービスの需要が増えてもそれに応えられないだけでなく、職員の処遇待遇まで手が回らず、現状では人材不足により福祉サービスの低下を招いています。
一部二階建て方式による支給

「普遍的介護保険」では、基礎給付は保険金で、特別なニーズにはこれまで通り一般財源から障がい特性加算金(処遇困難加算)を上乗せして支給する一部二階建て方式を提唱しています。
財源の拡大と"縦割り型"から"相乗り型"への転換によって、効率的できめ細かいサービスが提供できると考えます。
2. 職業能力を判定する専門機関の設立と制度設計を
職業能力の判定と進路指導の機関の充実を
「就労」を柱の一つとした障害者自立支援法ですが、利用者が希望する福祉サービスを選ぶために必要な「職業能力」の基準は存在していません。
どの程度の職業能力があれば就労移行支援事業を受けられるのか。B型、又はA型の利用者の、2年後、3年後の見直しはどの様に誰が能力判定をするのか。また、基礎自治体はどのような方法で利用者の福祉サービス支給を決定するのか。これらはそれぞれの事業所・自治体の任意となっており、利用者が望むステップへ適正につなげられていない実態があります。
教育委員会における就学指導委員会、市町村の福祉サービス利用における程度区分審査会の役割と同様の、職業能力の判定と就労調整・職業進路指導等をケアマネジメントする公的機関「就労支援委員会(仮)」の設立が求められます。
特別支援学校在学中の福祉サービスの利用を
特に進路に大きく影響するのが特別支援学校の高等部3年生です。しかし現状では、進路選択の一助となる在学中の福祉サービスの利用は制限されています。
進路決定に必要な「職業能力」を測るために、また卒業後の地域生活を想定しより実際的な就労訓練、生活訓練を行うために、特別支援学校在学中に平行して福祉サービスを利用できる制度の改正が望まれます。
3. 契約に基づいた処遇状況のオンブズ制度の設置を
障害者自立支援法では、利用者と契約を締結し重要事項説明書と個別支援プログラムに基づき福祉サービスを提供します。
この個別支援プログラムに基づいた処遇が、適切に計画的に行われているかを検証するしくみが、市町村において不十分ではないでしょうか。あるいは都道府県において個別支援プログラムに基づいた処遇がなされているかの実施指導や監査が充分に機能していないことが、障害者自立支援法において入所施設からの地域移行が進まない原因の一つではないかと思われます。
利用者にあった契約が結ばれ、契約事項が守られているか、福祉サービスを提供する側と受ける側をチェックする第3者の機関が必要です。契約に基づいた処遇状況のオンブズ制度の設置が求められます。
4. 日割り制度の維持を
障害者自立支援法においては報酬が月額方式から日額方式へ変わりました。
事業所への報酬が減り経営を脅かすものとして障害者自立支援法への批判の一因となっており、民主党が掲げる「障がい者総合福祉法」においてはその廃止が謳われています(「福祉新聞」2009年9月14日)。
しかし、日額方式はニーズに応じて複数のサービスを利用できるという点や、また利用者増に向けて事業所のサービス向上を促すという点において、利用者主体の制度の構築にあたって必要不可欠の仕組みと考えます。
障害者自立支援法によって実現した、施設福祉から地域福祉への流れを、後退させないためにも、報酬の日割り制度の維持を主張します。
5. 障がいのある方々の子育て支援を

愛する人との暮らしが増えてくる中で、パートナー生活・結婚生活・子育て支援とご本人が望む生活が拡がってきています。しかし、障がいのある方の子育てを支援する手立てとしては現在のところホームヘルプサービス・移動支援の活用しかなく、決まった日・時間に決まったサービス(家事援助)ではとうてい補うことはできません。
24時間365日の見守りが必要な子育て

子どもにかかる支援は通常のグループホームの世話人の支援からは外れるわけですが、乳幼児期は特に24時間365日の見守りが必要となりますし、以降も「子育て」という体験や知識のない障がい者にとっては、様々な予測不可なことが起こりうる子育て生活に寄り添う支援者が不可欠です。
子どもにも障がいがある場合、グループホーム・ケアホームの枠内での支援が可能となれば親子に密な支援ができますが、児童とみなされる子どもへの支援は児童福祉法との関係で、障害者自立支援法上のグループホーム・ケアホーム(障がい者へのサービス)が利用できない現状です。
障がいのあるご両親への支援に加えて、その方々が子育てをする際に子どもにかかる必要な支援をきちんとした仕組みの中でおこなえるような体制づくりが必要です。
6. 障害程度区分の改善を
障害者自立支援法では、106調査項目の一次判定と、市町村審査会による二次判定で、障がい者の福祉サービスの必要性を示す障害程度区分を決定します。しかし、実態にそぐわない事例が多発しています。
「社会適応能力」の欠如

全国福祉施設に行った調査では、過去5年間で受け入れた罪を犯した知的障がい者の内、51.4%が障害程度区分で中度及び軽度の障がい者と診断されています。彼らは「社会適応性」において、極めて重い障がいを持つといえますが、これを計る調査項目は現在の調査項目分には含まれていません。そのため、必要な福祉サービスと提供できる福祉サービスのミスマッチが、受け入れる施設の経済的負担となっています。
処遇困難な人たちへのサービスメニューの充実を
強度行動障がい者へ認められる加算は、重度包括支援の指定外のケアホームで支援を受け、生活介護を受ける組み合わせは、現状では認められていません。
コロニー雲仙では11名の強度行動障がい者加算を受け、手厚いサービスを提供していましたが、新体系移行後は日中系サービスの給付の見直しはあるものの、ケアホームでの支援には手だてが薄く生活においても、現実を反映させた特別加算を望みます。
実態を反映させた特別加算を
これらはマンパワーが必要であり、リスク面でも大きな負担を要します。サービスメニューの充実を図るには、処遇の実態を障害程度区分に反映させ、それを踏まえた加算が必要です。
7. 公営住宅の社会福祉事業への活用
地域生活の基盤となる「住まいの場の確保」は障がいのある方にとっても重要な課題となっており、中でも公営住宅の使用については障害自立支援法のみならず、国土交通省の通知にも明確に示されています。
公営住宅利用にあたっての壁
しかし、現実には公営住宅法と障害者自立支援法の間で、実際利用しようとする時にとても使いづらいものになっています。
障害者自立支援法上では、グループホーム要件事項として社会福祉法人借用が前提となっているのに対し、公営住宅法では、それを目的外使用と捉えられてしまい、柔軟な対応がなされない現状があります。
又、利用可能とされる公営住宅は一般市民が申し込まない(古い住宅・交通の便のよくない住宅等)住宅で、条件の良い住宅の一般募集の抽選に加わることもできません。
更に、入居要件として低所得者優先とされていますが、障がいのある方達は年金を所得の中心とされる低所得者が多くおられ、障がい+低所得という二重のハンデのある人たちにとって、このような状況では地域の中で一市民としての平等な権利が保障されているとは言えないのではないでしょうか。
街づくりの大きな役割を担う公営住宅
公営住宅法第45条第1項に基づく公営住宅のグループホーム事業への目的外使用については、障がいのある人が地域で暮らせる社会の実現に向けてその役割が大きくなるものと考えられており、地域の実情を踏まえた積極的な活用が期待されます。
障がいのある方たちの「生活の場」としての公営住宅の提供と併せて社会福祉法人の使用によるグループホーム支援を認めて頂き、弱い立場の人たちが生き生きと暮らせる街づくりに向け、障害福祉行政と住宅部局との実質的な連携により更なる地域福祉の促進が望まれます。
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平成21年11月8日
- 社会福祉法人 南高愛隣会 理事長
- 田島 良昭
- 中央大学法学部 教授
- 藤本 哲也
- 日本弁護士連合会 副会長
- 荒 中
- 島根あさひソーシャルサポート株式会社 総括業務責任者
- 歌代 正
- 弁護士
- 副島 洋明
- C・ネットふくい 専務理事
- 松永 正昭
- 社会福祉法人 南高愛隣会 常務理事
- 酒井 龍彦
- 社会福祉法人 南高愛隣会 常務理事
- 松村 真美
- 社会福祉法人 南高愛隣会 理事
- 阿部 百合子
- 参加者一同
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