社会福祉法人 南高愛隣会 コロニー雲仙
交通アクセス サイトマップ
お問い合わせ
トップページ>社会への発信>福祉のトップセミナー>2009
福祉のトップセミナーin雲仙2009  
 
 
 
 
再訓練のしくみと必要性  
   
5.個人事例
では、事例を通して再訓練のあり方を整理してみたいと思います。
 

Aさんは30代の男性、中度の知的障がいです。一般就労していましたが窃盗があり自主退職しました。成育歴としては親子関係に恵まれず、幼少期に。判定委員会の助言としては、①全てにおいて“我慢する力”の育成、②信頼している人との絆づくり、③余暇時間の有効活動、④希望を持てる様にプログラム内容の提示、⑤ペア生活への意欲を大切にする、⑥医療的側面からの相談という指摘がありました。本人のニーズとしては再就職として愛する人とのペア生活を実現したいということでした。
本人の訓練としては、日中は特科で基本訓練(挨拶・基本動作・作業)で精神力を養い、2か月目からは購買部を利用しての菓子・ジュースの嗜好品の購入を取り入れる中で、我慢する力を養いました。
 
日中の訓練は特科における基本訓練(挨拶・基本動作・作業)を中心とし、2か月目からは購買部を利用しての(菓子・ジュースの嗜好品の購入)を取り入れる中で、我慢する力を養いました。特技を伸ばす面では陸上サークルへ再加入し、週に1回は地域のグラウンドで活動しております。また、精神科受診も取り入れ、医学的なアドバイスをいただきました。
環境への働きかけは、信頼できる人との関係づくり・友達づくり、ペア生活を希望している女性との関係が続くための支援と、再就労に向けての検討会議を実施しました。
先日、特別指導終了検証委員会が開催され、まもなく再訓練は終了します。私は、Aさんが唯一「友人」に名を挙げた仲間が面会に来て話をする中で、Aさんが涙を流してくれたということだけでも、再訓練の意義を感じた次第です。この気持ち、この関係をこれからもつないでいってほしいと思います。
 

Aさんの費用負担については、事業所と福祉サービスの契約を結んでの利用になります。小遣いや年金収入に不足する分が、本人の貯金からの支出になります。
 

Bさんは20代の男性、中度の知的障害です。問題行動として地域において女性の部屋へ侵入し窃盗を働きました。判定委員からの助言としては、①「あいりん」が懐かしい快適な環境にならない様に配慮する、②性教育の実施、③家宅侵入の重罪を教えるという指摘がありました。再訓練プログラムのニーズとしては、自らが犯した罪を繰り返さず、再び訓練をして就職を目指したいというものでした。
本人の訓練については、家宅侵入が重罪であることを理解すること、性教育を実施すること、にしぼって考えました。
家宅侵入については、楽しみの制限として、得意とする特科での活動ではなく、人のお世話をするという本人にとって苦手な日中メニューを設定しました。また理解できる様な教材を検討しました。
性教育については、保健師を交えて本人の性への理解・興味を正しく知り、関心・興味は異常ではなくふつうのことであり、反社会的行為は悪いということを、信頼のとれている男性職員3人で指導しました。
環境への働きかけとしては、Bさんにとって、「あいりん」は懐かしい場所でもあるため、再訓練が快適な環境にならない様に、「あいりん」の仲間との接点は少なくして、むしろ今在籍している部署の仲間や職員との関係が切れない様に、面会にきてもらうように配慮を行いました。 現在は再訓練を終了し、就職を目指す訓練へ戻っていますが、今後も引き続き家宅侵入を含め、犯罪についての学習、性教育を継続していくことを予定しています。
 

Bさんは他機関に在籍中のため、利用契約を結ぶことが出来ませんでした。そのため、法人自主事業の利用となり、高額な費用負担となりました。しかし、ご家族の理解、協力が得られ、「費用は本人の貯金から支出します。二度と警察の世話にならぬ様に、何とか再訓練をして改善して下さい」という要望でした。
きちんと利用料を設定して、負担していただく事で、専門職としての責務・サービスにつながっていくと考えています。
 
6.まとめ

再訓練の重要性としては、地域には入所施設にはない、自由さ・開放感・豊かさ・魅力も多いですが、様々な人と出会い、資源・刺激も多く、さらに情報が氾濫する中で、罪を犯すリスクも当然多くなります。その様な状況になった時に、福祉的な矯正教育の役割ともいえる「再訓練」がセーフティネットとして必要になるのです。つまり、障がいのある人を刑務所に送らなくて済むようなセーフティネットの役割を果たす場合があるのです。
また、地域移行が進み「普通の場所で愛する人との暮らし」を実現する中で、当然、地域で暮らすための最低条件が生じてきました。それは、「社会のルールを守る」ということです。地域での豊かな生活を守るためには、社会のルールを侵してしまった人たちには、一端地域生活を中断してでも再訓練を行い、社会のルールはしっかりと指導しなくてはなりません。
そして、再訓練は、困難性の高い個別支援であり、専門性を高める事と連携が大切になります。
 

再訓練は「自立訓練(生活訓練)」の新たな機能として整理できると考えます。
方法については、再訓練を受けている人は、家族に恵まれない人がとても多いため、「大切な人」「仲間」を探し、こころの安心・充足感を図ることがまず大切になります。
職員としては、どのような問題を起こした利用者であっても、問題行動から見るのではなく、人として地域で生活していく上での「つらさ」「大変さ」を理解しようとすることが大切です。「ルールや規則は守るべきもの」という厳しい姿勢と、「どんなに悪いことが起こっても決して見放さない。あきらめない。信じ続ける」という深い思い、暖かさが必要になります。さらに悪い点ばかりが見えれば見える程、その人が持つ長所や優れている点を伸ばそうとする視点が大切であり、専門職としてチーム支援に参加するという意識が必要になります。
 

「あいりん」の場はまだまだ課題がありますが、中でも就労の場の創設は大きな課題です。特科の人達は本当によく働き、しかも楽しく働きます。しかし、一般企業で働くことが本当に幸せかは不安です。職員が一緒ならば、何の問題もなくどんな仕事もなしとげるすごいパワーを、何とか賃金に帰る方法を是非探していきたいと思います。
 

再訓練に携わって、待っていてくれる人、大切に思う人の存在が再訓練に大きく影響してきます。ふるさと、家族を思う気持ちを大切にし、愛する人との暮らしを実現すること、つまり一人ひとりの幸せを追求することが、結果として反社会的問題行動を防止することにつながると考えます。
再訓練を利用している一人ひとりはとても心優しく、人との関わりを求める愛らしい人たちです。また感心な程に再訓練に真剣に向き合っています。それだけ、地域での暮らしに再び戻りたい。という強い思いの表れだと感じます。この方々の心の寂しさ、空虚感を埋められることが出来るパートナーとの出会い、幸せな暮らしの実現のためにも、本人の「つらさ」「大変」に寄り添い、再訓練の充実に努めたいと思います。
 
 
前へ 1 2 3 4 次へ  
▲ ページの先頭へ  
   
コロニー雲仙とは 事業所案内 社会への発信 商品販売 情報公開