社会福祉法人 南高愛隣会 コロニー雲仙
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福祉のトップセミナーin雲仙2009  
 
 
 
 
罪を犯した障がい者の受け入れ(福祉事業所での実践)  
   
(2) 福祉以外の社会資源との連携

次に福祉以外の社会資源との連携です。この図に示しているように通常の障害者への支援とは外れた「社会的ルールの逸脱」という部分に関しては、福祉以外の社会資源を活用して支援することが大切になってきます。強制力や抑止力という一定の拘束力をもつ警察、保護観察所などの社会資源との連携が有効です。
「罪を犯さない」という意識づけでも、担当職員、保護司、保護観察所と、関わりに濃淡をつけ、外部の力を借りることで、より大きな効果が期待できます。
 

その社会資源の一つとして「仮釈放制度」があります。仮出所期間は一定の拘束力があり、利用者自身も罪の意識が高い期間です。また、支援者にとっても保護観察所や保護司という司法サイドのサポート受けやすい時期でもあります。「拘束」という司法の力があるこの期間を受け入れの導入期として活用し、「エンパワメント」という福祉の力へうまく切り替えを行っていくことが支援のポイントとなります。
 
(3) 仲間づくりと居場所づくり  

3つ目に仲間作りと居場所作りがとても大切だということです。
人は関係性の中で生きています。その関係性の基地となるのが母親であり、家族だと思います。
いつでも社会の風から守ってくれて、真っ先に自分の味方となってくれる家族があるおかげで、私たちは社会への一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。これまで受け入れをおこなった罪を犯した障害者の背景を探っていくと、共通して家庭に恵まれていない者が多いとことがわかりました。
帰れる場所、守ってくれる人という「基地」がない人は常に孤独感と不安感を抱えています。そして、犯罪によって、居場所を失っていく中で、人を信じられない、または人から信じてもらえないという心の壁が出来ていきます。
実際に受け入れを担当した2名も、他の利用者の方と比べると、周囲を警戒しているような、なかなか心を開いていかない様子がありました。
 

個別支援計画では、個々の目標に移る前に、これまでの「心の壁」をいかにときほぐしていけるかが、ポイントとなります。
特に受け入れ初期は「刑務所を出て来た」という引け目からか、心の壁が高くなっています。「おかえり」とありのままを受け入れてくれる場所づくりが、まず大切になってきます。信頼できる仲間がいることが安心感を生んでいきます。
次に大切なことは居場所作りです。AさんもBさんもホームの中で役割を持っていただきましたが、これは生活習慣をつけることだけが目的ではありません。他の利用者から「ありがとう」等の感謝の言葉が返ってくるようになる中で、自分の役割があり、自分が役に立っているという自身の存在価値が芽生えてくるとおもいます。ホームという小さな関係性の中でも役割をもつことで、自分の居場所を日々体感し、自信の回復につながっていくことを目指していきました。
そしてその輪をBさんの様に、地域の中に少しずつ広げていけるかが、重要になってくるのではないでしょうか。
 
5.最後に

私たちは「罪名」に目を奪われてしまいがちです。しかし、これまで見てきた様に、本人へ福祉が届かず、様々な負の連鎖の中で犯罪に手を染めざるを得なかった人がほとんどでした。
それゆえに、犯罪ではなく本人に着目をし、「しあわせづくり」を行う事が、福祉の支援を行うにあたって必要なことではないかと考えます。そして取り上げた2事例からも明らかなように、それこそが一番の再犯の防止につながるのではなないでしょうか。
その際、地域生活定着支援センターや保護観察所を巻き込んだ、ネットワークを構築することが重要になります。このようなネットワークを構築していくことが、やがて「二度と罪を繰り返さない」ことを地域全体で支えることにつながっていくものと確信しています。
そして、何度も繰り返すようですが、罪を犯した障がい者の一人一人は「ふつう」の方達です。
本人さんが一番求めているのも「特別」な支援ではなく、普通の福祉サービスと、一緒に歩んでくれる理解者であると思います。他の利用者と隔ててしまうのではなく、最初に取り上げたAさんの様に、矯正施設から直接地域の中で受け入れることが、一番理想的な方法ではないのでしょうか?
 

これは、初めて受け入れを行ったBさんが真ん中に写っているのですが、Bさんの娘と同じ年齢である私の妻の出産時の安産を願って、Bさんが千羽鶴をおってくれました。これはその千羽鶴を病院に届けてくれた時の写真です。支援を行う中で大きくなっていった、Bさんの心のあたたかさに、私自身もとても感動させられました。
私たちは普通の場所で愛する人との生活を支援してきました。罪を犯してしまった障害者・高齢者の方々がこれからも、たくさん人と出会い、たくさんの体験をして、資源を選びながら、一人ひとりが願う人生設計や自己実現が叶うことを願い、罪を犯した障害者の受け入れ(福祉事業所での実践)の報告を終わりにしたいと思います。
 
 
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