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福祉のトップセミナー in 雲仙2005 「地域で暮らす」障害者へ  
読売新聞 2005年9月20日 より転載
福祉のトップセミナー in 雲仙2005
「地域で暮らす」障害者へ
障害者の自立支援をテーマにした「福祉のトップセミナーin雲仙2005」(社会福祉法人・南高愛隣会主催、読売新聞社共催)が、9月10、11日、長崎市で開かれた。4人の首長による討論「首長夢トーク」では、障害者の地域生活支援のあり方や、地方分権をめぐって意見を交換。今後の政策提言として、先の国会で廃案となった障害者自立支援法案の早期成立などを求める「長崎アピール2005」を採択した。
首長夢トーク出席者
◇浅野史郎・宮城県知事(コーディネーター兼)
◇潮谷義子・熊本県知事
◇大蔵律子・神奈川県平塚市長
◇鈴木 望・静岡県磐田市長
★障害者支援★
浅野 障害者の地域生活支援に関する取り組みや考えを伺いたい。
大蔵 障害者がある中・高校生が家に閉じこもりがちになったり、この家族の就労に支障が出たりしないよう、平塚市では来年度から、中・高校生を放課後や休日に預かる事業を行う予定だ。
潮谷 大学時代から今日まで、ずっと障害を持つ人と接してきたが、表現できないほど多くのことを考えさせられた。だから、施策で何が足りないか、絶えず願みることにしている。
鈴木 車いすバスケットはちょっと無理でも、健康増進のため、何か継続的に運動がしたいと思っている障害者は多い。そうした人たちが気軽に取り組めるスポーツを推進したい。
浅野 現在の障害者福祉の一番の目的は、自己実現のお手伝いだと思う。ハンデがあり、自己実現が簡単にできない人をハード、ソフト両面で支援する。自己実現の場は施設の中ではなく、地域社会。だから宮城県では2004年に、知的障害者施設の解体宣言を出した。
潮谷 熊本県が行ったアンケートでも、「地域で生活したい」という障害者が多い。そのためのサービスの拡充、就業支援、県民の理解促進などの基盤整備が不可欠。ただし、地域生活に移行するまでは施設で暮らすのだから、施設の質も確保しなければならない。
鈴木 磐田市では知的障害者施設が老朽化し、建て替えのため国に補助金を申請したが、「これからは地域生活を重視する」言われ、補助金がおりなかった。しかし、今、施設にいる人たちをどうするのかという現実を考える必要がある。
浅野 宮城県では、障害者と認知症高齢者の共生型グループホームや、障害児が普通学級で共に学ぶ教育にも力を入れている。ある重い障害を持つ女の子は6年間、地域の小学校で学んだ。優しい性格なので、けんかを止める「仲良し係」の役割を担った。修学旅行で、その子がいる班だけは日程がゆったりしていたが、ほかの子供たちも理解していた。共に学ぶことで、障害のない子も成長できる。
鈴木 磐田市でも共生型ホームを1か所作った。親亡き後、障害者が安心して暮らせるためには実験的なこともしなくてはならない。また、総合教育では先生の負担が大きい。特区制度を使って今年から市費で先生を増やし、対応している。
浅野 先の図会で廃案となった障害者自立支援法案についてはどうか。
大蔵 廃案により、みんなで考える時間、反対した多くの障害者に理解してもらえる時間ができた。支援サービスを利用する際の自己負担は避けて通れないが、負担能力のない人への配慮や説明は必要だ。
鈴木 障害者の中には、低所得の人も多い。どうやって利用料を払ってもらえるのか、具体的に答えられるような制度でなくてはならない。
浅野 特別国会で成立させないと、国からの負担金が市町村にこないので、大変なことになる。
潮谷 障害種別の縦割りを廃止し、一元化する方向は高く評価するが、重度障害、難病、高次脳機能障害などの支援について具体的な道筋が見えない。
★地方自治・地方分権★
浅野 自治体運営の方針は。
潮谷 福祉だけでなく、先端産業の集積と一次産業の振興にも力を入れている。三位一体改革の中で自治体が自立していくために足元をしっかりさせたい。
大蔵 平塚市は、「市民が主人公」のまちづくりを大事にしている。市長になって以来、市民との井戸端会議や住民活動をしている団体との意見交換を続けている。一人一人の市民と直結していたいとの思いでやっている。
浅野 宮城県では、前知事がゼネコン汚職で逮捕されたため、情報公開、透明性のある県政を目指した。「権力は陳腐化する。期限付きであるべきだ」と考え、今期限りで知事を辞めることにした。
鈴木 政策の決定過程で、地域の有力者にお伺いを立てるだけてはいけない。若い人も含め、市民の声をできるだけ反映させるよう、心がけている。
浅野 地方分権についての考えを聞きたい。
大蔵 当然の流れ。自分たちのまちは住民が自分たちで作ることが基本。行政はそのサポーターとしてかかわっていきたい。
鈴木 国や県から言われなくても、我々はちゃんとやる。地域の事業は様々で、柔軟にやる必要があるのだから、権限も財源も基礎的自治体に下ろすべきだ。
潮谷 地方分権を展開する理念として、性別や年齢、障害の有無にかかわらず、だれもが住みやすい社会づくりを目指している。市町村合併も徹底論議して、あくまで自主合併で進めている。三位一体の改革派、一歩誤れば県民サービスが低下しかねない。住民も関心を持ってほしい。
浅野 財源が委譲され、障害者福祉のレベルに自治体格差が出てもいい。しかし、福祉のレベルが低ければ住民は怒るべきだ。国が口や金を出すのではなく、有権者と納税者がしっかり首長を監視する必要がある。
長崎アピール2005
障害者自立支援法案の早期成立を求める
障害者自立支援法(案)の早期成立、施行が必要。
障害者支援の充実のため、介護保険の保険料負担者とサービス受給者の範囲を2009年から拡大する。
触法、虞犯障害者の支援サービスを整備し、社会適応訓練のシステムを充実させる。
障害者施設の解体は当事者の意見や地域性を踏まえ、速やかに進める。
障害者が施設から地域へ移行するための住まいや活動の場、訓練システムを整備する。
在宅の障害者と家族が地域生活を継続できるための支援などを充実させる。
国や県に頼らず、充実した福祉を実施するため、市町村は実力をつける必要がある。
元気な高齢者には、地域活動の先頭に立って、中心的役割を果たしてほしい。
障害者自立支援法
障害者福祉を抜本的に改革するため、政府が先の通常国会に提出。衆院可決後、参院で審議中、郵政解散により廃案となった。障害種別により縦割りの制度を一元化。福祉サービスに必要な財源を確実に確保するため、国と都道府県の支出を義務化する一方、利用者にも原則1割の自己負担を求める。空き店舗などを使った事業展開を認めるなど、規制を緩和。就労支援も大幅に強化する。政府はあす21日開会する特別国会での成立を目指す。
 
 
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