南高愛隣会のあゆみ
■第1次整備五か年計画「治療教育・指導訓練の場づくり」
(1978年4月~1983年3月)
最初の5年間は社会的自立に向けたカリキュラムと指導体制つくりにあてられました。日中は家畜の飼育や施設園芸などで職業能力を養い、夜は自立のための集団生活で生活習慣を訓練する。職業と生活を分離した両輪体制を確立しました。町で就労する人の生活を支える「共同宅」と、措置を継続したまま少人数で暮らす「自立訓練棟」が誕生。大人数の入所施設から「自立訓練棟」に移り、就職して「共同住宅」で生活するという流れが固まりました。
※写真:1978年に開所した入所授産施設「雲仙愛隣牧場」
■第2次整備五か年計画「社会自立へのシステムづくり」
(1983年4月~1988年3月)
施設を修了した者が社会で生きていくための受け皿づくりに取り組みました。働く場としては、施設の職員、保護者が共同出資し、福祉工場の原型となる「(株)アイリン産業」を設立。1983年には労働省(現厚生労働省)への知的障がい者の職業能力開発に関する提言が「重度障害者特別能力開発事業」として制度化され、さらにはより専門的な職業訓練を行う「第三セクター職業訓練法人 長崎能力開発センター」の開設につながりました。生活の場としては、「通勤寮 双葉寮」がオープンし、ここを拠点に地域での生活支援と生活訓練が行われました。また、重度の障がいや高齢の利用者を対象に、職員住込み型自立訓練が始まりました。これらの実践をもとに厚生省(現厚生労働省)に働きけ、1986年に経済的自立に不可欠な障害基礎年金制度制定を、1987年には障がい者の範囲を知的障がい者まで含める障害者雇用促進法の立法が実現となりました。
※写真:ブロイラー工場で働く利用者
■第3次整備五か年計画「社会生活の受け皿づくり」
(1988年4月~1993年3月)
1989年のグループホーム制度化で、「地域での生活」への流れは加速します。労働省の助成を活用し、個々の年金を有効活用する年金出資金制度とあわせ、自立訓練棟や障がい者住宅も整備されていきました。一方で地域で暮らす人が多くなり、アフターフォローを含めた地域生活の支援の必要性が浮上してきました。「地域サービスセンター」も始動し、生活の場、働く場や楽しみの場、支援者や組織の三つの観点から支援体制を整えていきました。夕朝食の配食サービスも始まり、より「ふつうの場所」での生活が可能になっていきます。
※写真:バリアフリー設計の「緑ヶ丘住宅」
■第4次整備五か年計画「人として生きる権利をどう保障していくのか」
(1993年4月~1998年3月)
「故郷型自立訓練」の第一号を島原市に設置。措置を継続したまま職員ごと自立訓練棟の機能を移すことで、重い障がいのある利用者も、ふるさとで生活することが可能になりました。各地域で高まる生活支援の要請を受け、「県央地域サービスセンター」を諫早市に開設。「おもちゃ図書館」「ポニークラブやまびこ」といった多彩なメニューとに、地域で生活する在宅の障がい者へも支援の輪は広がっていきました。また、第三セクター方式による重度障害者多数雇用事業所「(株)プリマルーケ」も設立されました。
※写真:乗馬療法の実施
■第5次整備五か年計画「共に生き共に支え合う、安心できる福祉社会を」
(1998年4月~2003年3月)
長年設置を要望していた知的障がい者の就労支援を行う障害者雇用支援センター(あっせん型)を開設。福祉工場の給食部門は「福祉工場ブルースカイ」としてオープン、「瑞宝太鼓」はプロ化する等、様々な面から働く場の充実が図られました。1998年を最後に入所授産施設「雲仙愛隣牧場」の生活棟の利用はなくなり、地域への移行が進みました。佐世保市と長崎市に地域サービスセンターを開所し、生活の場でも「解体宣言」へつながる準備が整えられていきます。
※写真:結婚相談室「ぶ~け」
■第6次整備五か年計画「ふつうの場所で、愛する人との暮らしを」
(2003年4月~2008年3月)
2006年4月、「脱施設」を掲げる障害者自立支援法が施行されたことにより、「ふつうの場所で、ふつうの暮らしを」という南高愛隣会のテーマが全国の福祉施設の指針となりました。これに伴い、入所施設の
「雲仙愛隣牧場」と「コロニー雲仙更生寮」は閉鎖されました。2003年には「グループホーム解体宣言」を発表し、愛する人と最少数の単位での生活を目指して、結婚推進事業「ぶ~け」がオープンしました。支援の対象者は知的障がい者以外に広がり、介護保険制度の制定による高齢者部門も開設し、罪を犯した障がい者への支援についての研究も始まりました。
※写真:入所施設「雲仙愛隣牧場」「コロニー雲仙更生寮」閉園
■第7次整備五か年計画「弱者を包み込む地域づくり」
(2008年4月~2013年3月)
障害者自立支援法への完全移行によって実現した「ふつうの場所」での生活では、県内各地でのナイトケアの充実とともに、より安心安全な生活に向けた取り組みが進められていきました。「罪に問われた障がい者」に対しては、全国に先がけて長崎県地域生活定着支援センターを設置。社会福祉法人として初となる更生保護施設「雲仙・虹」を開設しました。2011年からは、医療と福祉が連携して精神障がい者を地域の中で支える取り組み「AI-ACT」が始まりました。
※写真:地域生活定着促進事業開始