1970年、心身障がい者を対象とした初めての法律「心身障害者対策基本法」が施行されました。入所施設を充実させ、その中で障がいのある人達を守ることが、本人たちの幸せにつながるという理念のもと、全国に大規模施設が開設されました。
政治家秘書として同法の施行に携わったのが、南高愛隣会創始者の田島良昭氏です。田島氏は全国の施設を回る中で、入所施設で暮らす障がいのある人達の想いは「早くおうちに帰りたい」「お母さんに会いたい」ということに気が付きました。「自分で施設を創り、本人達から教えてもらうしか方法が無い」と思い立ち、1977年に「社会福祉法人 南高愛隣会」を設立し、1978年に入所授産施設「雲仙愛隣牧場」をスタートさせました。
田島氏は、家族3人で施設へ住み込み、障がいのある人達と寝食を共にすることで、入所施設での生活がいかに「特別な生活」であるということを身に染みて感じます。
南高愛隣会は「ふつうの場所でふつうの暮らしを」のスローガンのもと、一刻も早く障がいのある人達が「ふつうの場所」で安心して暮らせるよう様々な取り組みを行ってきました。
2006年、当法人で実践していたものが大きく取り入れられた「障害者自立支援法」が施行されました。単身生活や結婚生活を始め、「特別な場所」ではなく「ふつうの場所」で生活することが全国で可能になりました。
2007年3月には、入所更生施設「コロニー雲仙更生寮」と入所授産施設「雲仙愛隣牧場」を閉鎖しました。
沿革史
西暦 | 和暦 | 沿革 | |||||||
1969 | S44 | ボーイスカウト出身者によるボランティアグループ「島原愛隣会」結成、活動開始 | |||||||
1976 | S51 | 知的障害者入所授産施設「雲仙愛隣牧場」設立申請書提出 | |||||||
1977 | S52 | 「社会福祉法人 南高愛隣会」設立、国庫補助金内示、入所授産施設「雲仙愛隣牧場」建設着工 ★初代理事長 田島良昭氏就任 |
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1978 | S53 | 入所授産施設「雲仙愛隣牧場」(雲仙市)開設(最初の利用者は12名) | |||||||
1979 | S54 | 第1回修了式、6名が社会自立を果たす | |||||||
1981 | S56 | 福祉ホーム「有明荘」(雲仙市)スタート(町の中に作った最初の生活拠点) 入所厚生施設「コロニー雲仙更生寮」(雲仙市)開所 |
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1985 | S60 | 措置のまま支援付きで生活する場所を移動する試みとして、重度高齢者5名の自立訓練「あかつき荘」「れいめい荘」開設 地域の生活の拠点として通勤寮「双葉寮」(雲仙市)開設 |
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1987 |
S62 |
【関連法人】「第三セクター職業訓練法人 長崎能力開発センター」開校 | |||||||
1988 | S63 | 福祉工場「コロニーエンタープライズ」(雲仙市)開設 | |||||||
1989 | H1 | 日本で最初の知的障がい者によるユニオン「瑞穂町心身障害者ふれあい協会」発足 国の第1号グループホームに7棟が認可される |
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1990 | H2 | 重度高齢者自立訓練棟の第1号「緑ヶ丘住宅」(雲仙市)落成 ★第2代理事長 桜田敏孝氏就任 |
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1991 | H3 | 重度高齢者自立訓練棟を使用して社会自立推進強化事業(法人単独事業)開始 | |||||||
1992 | H4 | 長崎県の委託を受け通勤寮「双葉寮」で「知的障害者生活支援事業(生活支援センター)」開始 地域の単身の就労障がい者へ必要な生活支援を行う ナイトケアセンター発足。日中活動(デイケアー)と生活の場(ナイトケアー)を分離する体制固まる |
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1993 | H5 | ★第3代理事長 田島良昭氏就任 | |||||||
1994 | H6 | 重度棟にいた全員が自立訓練棟へ移る 故郷型自立訓練棟第1号「増田アパート」(島原市)開設 授産施設分場「ワークショップ・ペガサス」(雲仙市)開設 乗馬療法スタート |
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1995 | H7 | 県央地域サービスセンター開設 第三セクター職業訓練法人 長崎能力開発センター校歌制定(曲名:大地の春風/作詞・作曲:田口正壽) |
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1996 | H8 | 通勤寮、生活支援センター、デイサービス等の福祉機能が併設された「諫早通勤寮」(諫早市)開設 | |||||||
1997 | H9 | 入所授産施設「雲仙愛隣牧場」の生活棟利用者がゼロに。全員が自立訓練棟へ移動 | |||||||
1998 | H10 | 「障害者雇用支援センター」開設 | |||||||
1999 | H11 | 「コロニーエンタープライズ」の給食部門を福祉工場「味彩花」として独立 「感性療育研究所」を開設 音楽療法、園芸療法、乗馬療法といった活動の幅が広がる |
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2001 | H13 | 福祉工場「ブルースカイ」(諫早市)開設 (給食製造販売・パン製造販売) 勤労障害者打楽交流団「瑞宝太鼓」プロ化 |
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2002 | H14 | 「長崎障害者就業・生活支援センター」設置 入所施設「雲仙愛隣牧場」解体宣言 |
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2003 | H15 | 結婚推進事業所「ぶ~け」(法人自主事業)スタート 「グループホーム解体宣言」 |
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2004 | H16 | 認知症高齢者・グループホーム「かたらい」(雲仙市)開設 | |||||||
2005 | H17 | 「契約になじまない障害者等(触法・虞犯障害者)の法的整備のあり方勉強会」開設 罪を犯した障がい者・高齢者への支援の取り組み開始 |
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2007 | H19 | 通勤寮を除き「障害者自立支援法」にもとづく新体系へ移行 入所授産施設「雲仙愛隣牧場」入所更生施設「コロニー雲仙更生寮」閉園 |
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2009 | H21 | 「長崎県地域生活定着支援センター」開設(現在はNPO「生き生きネットワーク・長崎」へ移管) 更生保護施設「雲仙・虹」開設 全事業所が「障害者自立支援法」へ完全移 |
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2010 | H22 | 「熊本県地域生活定着支援センター」(熊本市)スタート、熊本県からの業務委託を受ける 利用者による任意団体「ふれあい協会」がNPO「ふれあいネットワーク・ピア」に統合 「精神障がい者支援室」設置、精神障がい者への支援事業スタート |
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2011 | H23 | 「グループホーム・ケアホームありあけ」を当事者団体NPO「ふれあいネットワーク・ピア」へ移管、知的障がい者当事者団体として初の社会福祉事業をスタート 重い精神障がい者へ医療と福祉による支援「AI-ACT」(包括型地域生活支援プログラム)スタート |
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2013 | H25 | 精神障がい者のための自立訓練(生活訓練)事業所リンク開設 ★第4代理事長 田島光浩氏就任 |
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2014 | H26 | アールブリュットスタート 障がいのある人が、自身の内側から湧き上がる衝動のまま芸術作品を作ります。 |
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2016 | H28 | モデル事業-自立生活援助事業スタート グループホームから自立し、一人暮らしを始める方々を支援します。 |
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2018 | H30 | 安心・安全なまちづくり関係功労者(内閣総理大臣賞) 罪を犯した障がい者・高齢者の社会復帰支援が評価されました。 |
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2020 | R2 | 日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバル アールブリュット活動における作品を展示しました。 |
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2021 | R3 | 初代理事長 田島良昭氏 逝去 |
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2022 | R4 | 長崎刑務所とのモデル事業スタート 受刑中からアセスメントを行い、出所後の就労につなげます。 |